2026-05-04

【鍼灸院チェーンのkintone活用】患者さんの居場所と指導記録を地図と手書きで一元管理する方法

羽鳥 合同会社Pons 代表
羽鳥 合同会社Pons 代表

神奈川県藤沢市役所にてkintone導入担当として数々のアプリ開発を経験後、合同会社Ponsを起業。現場目線で設計されたkintoneプラグインを提供する。cybozu オフィシャルプロダクトパートナー。

鍼灸院の運営は、ただ施術を行うだけでなく、患者さんとの信頼関係構築や、チェーン全体での指導・連携が非常に重要です。

多くの鍼灸院チェーンが、患者さんのカルテや施術記録をkintoneで管理し、業務効率化に取り組んでいることと思います。患者さんの情報が一元化されるのは大きな進歩です。

しかし、現場の担当者や経営視点から「ちょっと惜しいな」と感じる瞬間もあるのではないでしょうか。

たとえば、以下のような経験はありませんか。

「この患者さんは、〇〇駅からバス停Aを降りて、道を曲がったところの、この建物に入院されているんだよな…」

患者さんの自宅や通院場所をkintoneの住所欄に文字で入力するのは簡単です。しかし、それが地図上の具体的なピンとして表示されていないと、「本当にこの近くか?」「どの道順でたどり着くの?」という疑問が残ります。

また、院内指導や、他の店舗への巡回指導の際、現場の状況を写真に撮り、指導内容をメモに残したいことがあります。kintone標準のコメント欄だと、文章しか書けません。現場の図面や写真に「ここを気をつけて」「この部分が原因だ」と矢印を引いたり、丸をつけたり、直接書き込みができないのは、作業の「間取り」が合わない感覚ですよね。

さらに、本社や経営層の視点で見ると、「この地域(例えば、特定の学区や駅周辺)に患者さんが急に集中し始めたな」という、地理的な傾向をデータから読み取りたいことがあります。ただ、kintoneのデータは「レコードの集合」であり、これを「エリアの分布」という視点に変換して、一目で傾向を把握するのは難しいのが実情です。

これらの「現場の視点」「空間の視点」「傾向分析の視点」が、kintone単体ではカバーしきれない、というのが課題の本質です。

1. 患者さんの居場所を「地図」で明確化する

鍼灸院の運営において、地理的な位置情報は単なる「住所」以上の価値を持っています。患者さんがどこから来て、どのルートで院にたどり着くか、店舗の配置が最適かを考える上で、地図の視点は必須です。

この課題を解決するのが、地図表示機能です。

単に住所を保存するだけでなく、レコードの住所を自動で地図上にピンとして表示できます。複数店舗や、複数の患者さんの自宅を登録しても、マーカーとして一括で確認できるため、「今週はAエリアに患者さんが多いから、午後はAエリアを重点的に巡回しよう」というような、効率的な動線計画が立てやすくなります。

さらに、ピンをクリックするだけで、その患者さんの住所を起点としたGoogleマップへのルート案内が可能です。指導担当者やスタッフが、訪問前に「道順」をシミュレーションできるのは、現場の安心感に直結します。

複数マーカーアイコンで、患者さんの通院場所や店舗の位置を視覚的に把握し、エリアごとの課題発見につながる マーカーをクリックするだけで、詳細な住所情報や通院ルートをGoogleマップ上でシミュレーションできる 地図上で患者さんの自宅から院までの最適な移動ルートをスタッフが事前に確認できる

2. 現場の状況や指導メモは「手書き」で残す

鍼灸治療の指導や、他の店舗への指導巡回では、現場の具体的な状況を記録することが非常に重要です。

「患者さんの自宅の環境が原因だ」「この図面上の箇所が重要だ」といった指摘は、文字情報だけではニュアンスが伝わりにくいことがあります。

手書きメモ・署名機能を利用することで、この「伝える」という行為自体が、より正確で強力な記録となります。

指導時に撮影した現場写真や、院内の図面、あるいは指導マニュアルなどのテンプレート画像に、タブレットやPCから直接、書き込みや矢印、丸を付けることができます。

「この部分は、指導した際に特に注意してほしい点だ」という指摘を、写真に直接書き込むことで、言葉以上の説得力を持って情報が残ります。また、指導内容や同意書など、重要な箇所に電子署名(サイン)を求められる場合も、その場ですぐに取得できます。

現場で撮影した患者さんの環境写真に、指導担当者が直接「ここを気をつけて」と書き込みを加えられる 院内のフロアマップや指導マニュアルの図面上に、どこに問題があるかを指し示しながらメモを残せる 指導や契約の際に、電子署名(サイン)をその場ですぐに取得し、記録に紐づけられる

3. エリアごとの傾向を「コロプレス地図」で経営分析する

チェーン展開する院ほど、「どのエリアに、どのような種類の患者さんが、どれだけ多く集まっているか」という経営的な傾向分析が必要になります。

「北の〇〇地域は、慢性的な腰痛の患者さんが多い傾向にある」「東の〇〇地域は、婦人科系の通院が急増している」といった知見は、経営戦略や、そのエリアに特化した指導プログラムを組む上で不可欠です。

地図BIプラグインは、この「レコードの集合」を「エリアの分布」という視点に変換してくれます。

都道府県、市区町村、国といった行政区画の地図上に、蓄積された件数や合計件数を色分けして表示できるのです。これにより、どのエリアが「ホットスポット」なのか、一目で把握できます。

経営層やエリアマネージャーが、データに基づいた具体的な行動計画を立てるための強力な根拠が、この一枚の地図から得られるようになります。

都道府県レベルでの集計結果を地図上に色分け表示し、エリアごとの患者数の偏りを視覚的に把握できる 市区町村レベルでの集計により、特定の地域に患者さんが集中しているホットスポットを特定できる

導入を後押しする、費用とセキュリティの視点

これだけ機能が充実していると、「費用はどれくらいかかるんだろう?」と考えるのは当然です。

一般的なkintoneのプラグインは、ユーザー数に応じた月額課金制が多く、利用期間が長くなるほどコストの差が開いていく傾向があります。

ご紹介したプラグインは、完全に買い切りの仕組みを採用しているため、初期投資はかかりますが、その後の維持費やユーザー追加費用(ユーザー数無制限)が一切かからないのが大きな強みです。長期的に運用するチェーン展開の組織にとっては、非常にコストメリットが大きいと言えます。

さらに、医療情報を取り扱う以上、セキュリティは最優先事項です。本製品は、すべてのデータ処理をブラウザ内で行うため、外部サーバーへの機密性の高いレコードデータの送信が発生しません。情報セキュリティポリシーが厳しい組織や、個人情報保護に細心の注意を払う必要がありますが、安心して導入できる設計になっています。

kintoneという素晴らしい基盤を使いながらも、「場所」と「手書き」という現場の感覚的な部分を埋めることで、鍼灸院チェーンの運営は、さらに「実務家が使うための、より高精度なプラットフォーム」へと進化するはずです。

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